つまらん、こんな生活はつまらん。
大学へ向かう電車に揺られながら、中山壮太郎はそう思った。
今春、大学に進学した壮太郎は、家と学校を往復するだけの毎日に、苛立ちを感じていた。
俺の人生はこのままでいいのだろうか……。
彼は、やりたい勉強があって、大学に入ったわけではなかった。
なんとなく、まわりの雰囲気に流されて、受験勉強をして、なんとなく大学に進学したのだった。
これでいいのか俺の人生。
何かしないと、何かしないと。
彼の頭の中で、何度もその言葉が繰り返された。
窓の外には、のどかな田園風景が広がっていた。
彼は車窓を眺めながら、この悶々とした生活から抜け出すためには、何をしたらいいのか考えた。
隣のサラリーマンが読んでいる新聞の見出しが、ふと目に入った。
『松井秀喜、満塁ホームラン!』
それを見て、彼は思った。
よし、大学を辞めよう。メジャーを目指そう。
メジャーになろう。何かでメジャーになろう。メジャーだ。
彼は大学に行くのをやめる事にした。
彼は次の停車駅で降りて、引き返した。

 つづく

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