すると、「お姫さまは、ここにはいない」と、イタチが言った。
「なら、どこにいるんだ」
クップティは言った。
「ボスが連れて行ったのさ」
「なにっ、お前の上にボスがいたのか。ボスはどこにいるんだ」
「そいつは、教えられねぇなぁ」
イタチは言った。
「ボスの所に案内しろ。そして、お姫さまを解放するように言うんだ」
クップティは言った。
「そいつは、教えられねぇなぁ」
イタチは言った。
「もう一度言う。ボスの所に案内しろ」
「そいつは、教えられねぇなぁ」
「もう一度だけ言うぞ。ボスの所に案内しろ」
「そいつは、教えられねぇなぁ」
「本当に、もう一度だけ言うぞ。ボスの所に案内しろ」
「そいつは、教えられねぇなぁ」
「バカか、てめぇ、これでもかっ」
クップティは、イタチのきゃん玉袋に蹴りを入れた。
「ぎゅっひゃ〜、許してちょお。案内します、案内しますぅ」
イタチは、のたうちまわりながら言った。
そうして、あつしたちは、イタチに案内させて、ボスの所へと向かった。
しばらく行くと、ねずみのガイ骨が、散乱している所にやってきた。
「こわいなぁ。こいつらは、みんなお前のボスが食っちまったのか」
フォティキュがイタチに聞いた。
「そうさ、ボスはねずみが好物でね」
イタチは言った。
フォティキュは、体をブルブルと震わせた。
やがて、ボスが棲みかにしているという、木箱が見えてきた。
「あそこに、お姫さまがいるのか……」
クップティの心臓が高鳴った。
「クップティさん、彼とひきかえに、お姫さまをかえしてもらいましょう」
あつしは、イタチを見て、言った。
「それは、いい案だ」
クップティが言った。
「そんなに、うまくいくもんかね」と、イタチは笑みを浮かべて言った。
「お前は黙っていろ」
フォティキュが、イタチを縛っている縄をグイッとひっぱった。
「さあ、ゆくぞ」
クップティが先頭になって、木箱に近づいていった。
木箱の前にくると、フォティキュが、イタチにボスを呼ぶように言った。
「ボス、出てきてください。ボス、助けてください」
イタチは、情けない声で言った。
木箱の中から、「さわがしいね、なんだい」という声が聞こえてきた。
あつしは、緊張して、足がガクガク震えた。
そして、木箱の穴から、ボスが姿をあらわした。
それを見て、あつしは驚いた。

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