あつしたちが、くつろいでいる近くに、ウネウネと這いまわる影があった。
そう、クップティとフォティキュが警戒していた、ヘビがやってきたのだ。
しかも、このヘビは、二つの頭を持った、双頭のヘビだ。
突然変異で誕生したのだろう。
ヘビはウネウネと、あつしたちに近づいている。
あつしも、クップティも、フォティキュも、まったく気づいていない。
右のヘビと、左のヘビが、どのねずみを狙うか相談をはじめた。
「俺は、あのまるまると太ったねずみを食べようと思うのだが」
右のヘビが言った。
「お前は、グルメじゃないな。あれはまずい。背の高いねずみを狙おう」
左のヘビは言った。
「背の高い方は、肉が少なくて嫌だ。俺は、太った方を狙う」
「あれはな、あぶら身ばっかりで、まずいんだよ」
「俺は、あぶら身が好きなの。だから太ったねずみがいい」
「そんなんばっかり食べてたら、成人病になるやろ。言う事を聞け、あほ」
「あほとはなんや」
「あほやから、あほって言ったんや。本当の事を言って悪いか、あほ」
「むかつくなぁ。あほは、お前やあほ」
「だまれあほ、お前は俺の言う事を聞いてたらいいんじゃ、あほ」
「も〜イヤ、ほんまイヤ。お前と一緒はイヤ」
「俺も一緒は嫌やっちゅうねん。毎日いびきはうるさいしな」
「そんなん言うか。ほんなら俺も言わしてもらうで」
双頭のヘビは、ケンカに夢中になった。
あつしたちは、充分に休みをとって、いたちの棲みかへと走りだした。
双頭のヘビは、獲物を逃した事に気づかず、ケンカを続けているのだった。

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