クップティとフォティキュにつれられて、あつしは宮殿の広間にいた。
広間には赤い絨毯が敷かれてあり、天井にはシャンデリアが吊ってある。
そこで、しばらく待っていると、立派なヒゲをはやした王様がやってきた。
クップティとフォティキュは、背すじをグッとのばした。
「王国の警備、いつもご苦労」
王様は、二匹に言った。
クップティとフォティキュは、外敵から国を守る仕事をしているのだった。
そして、王様は「ねずみの世界にまぎれこんだのは、この子か」ときいた。
「そうです。ブーメラン通りのつきあたりにいた所を見つけました」
クップティがこたえた。
王様は、あつしをじろじろと見た。
「僕はどうなるの王様。公園に帰して」と、あつしは、王様に言った。
「ねずみの国を知られたからには、帰すわけにはいかないのだ」
と、王様は言った。
「この子はどうなるんですか?」
フォティキュが、王様にたずねた。
すると王様は「牢屋で一生過ごしてもらう」と言った。
「いやだぁ、家に帰してよぅ、おかぁさん、おとうさん」
あつしは、泣きだした。
と、その時。女の悲鳴がきこえた。
そして、宮殿の召使いが、広間に走ってきた。
「大変です、お姫さまが、お姫さまが、イタチにさらわれました」
召使いは、目をみひらいて言った。
王様は「なんじゃと」と言って、気を失いかけた。
クップティとフォティキュが、よろめいた王様の体を支えた。
「イタチは、子の刻(午前0時頃)までに、いけにえのねずみを五匹つれてきたら、お姫さまを解放してやると言っていました」と召使いは言った。
「いけにえをよこせと言ったのか」と言って、王様は考えこんだ。
クップティが「どうなされます、王様」ときいた。
「娘一匹を助けるために、いけにえを五匹だすなんて、できるわけがない」
王様は、声をふるわせて言った。
「いけにえをだして、約束どおりに、お姫さまを解放するとも思えないし」
フォティキュが言った。
みんなが、黙り込んだ。
「僕が、助けにいきます」
あつしが言った。

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