魔物の山・下

2003年3月26日
BBは巨大ムカデのにおいをたどって走り出した。不破と千恵は、BBの後を追って走った。
どれくらい走っただろう。日が暮れて、暗くなりはじめた。
足元がよく見えなくなってきた。
「おっと」
不破は、何かを踏みつけて、バランスを崩した。
よく見ると、がい骨だった。人間の骨が散乱していた。
「あの巨大ムカデに喰われた人間の骨だろう」
「こんなにたくさんの人が、あの巨大ムカデの犠牲になってるなんて」
BBは、2人をせかすように「ワンワン」と吠えて、走り出した。
不破と千恵も、走った。
不破と千恵とBBは、山を越え、谷を越え、ハットリ君がやってきた。
「ムギギギー」
突然、巨大ムカデの鳴き声がした。
「近いぞっ」
不破は耳をすました。
2人と1匹は、鳴き声がする方向へ、ゆっくりと近づいて行った。
「洞窟があるわ」
千恵が洞窟を見つけた。
「BB、急ぐんじゃない。俺が先に行く」
不破は、刀を抜いて、洞窟の中へと入っていった。千恵とBBは、距離をあけて後ろについていった。
「ムギギギー」
洞窟の奥から、巨大ムカデの鳴き声がした。
「ちょっと休憩」
不破は、緊張をほぐすため、ポケットから煙草を取り出して、一服した。
「こういう時の煙草はうまいなぁ」
不破は、スパスパと煙草を吸った。
「なにこんな時に煙草吸ってるのよ、はやく先に進んでよう」
千恵が言った。
「こういう時こそ、リラックスする事が大切なんだよ」
不破はそう言って、洞窟の奥へと歩いた。
洞窟は、まっくらで何も見えない。刀をつかって障害物を察知して、歩みを進めた。
その時、渡辺の声がした。
「お〜い、誰か助けに来てくれたのか〜」
不破の吸っている煙草のにおいで、渡辺は人が来ている事に気づいたのだ。
「まだ無事なのか〜。どこに居るんだ〜」
不破は叫んだ。声は洞窟の中で反響して、どこから声が聞こえているのかわからなかった。
「キャー」
千恵が悲鳴をあげた。
暗闇の中から、巨大ムカデの長い触覚がのびてきて、千恵をつかまえたのだ。
不破は、刀をにぎりしめて、知恵の悲鳴がする方向に、走った。
暗闇の中で、うごめく巨大ムカデの腹をめがけて、刀を突き刺した。
刀は3寸ほど刺さったが、巨大ムカデはびくともしない。
不破は刀を抜き取ると、もう一度、刀を突き刺そうとした。
が、不破は巨大ムカデの触覚につかまってしまった。
「くるちぃ〜」
不破は、もがいた。触覚は、きつく体にくいこんでいて、抜け出せない。
手には刀を持っているが、腕ごと触覚にまきつかれているので、刀は使えない。
きつく触覚にしばられて、体に力が入らなくなって、不破は刀を手放した。
「ワンワン」
BBも必死に巨大ムカデに立ち向かっていた。
千恵は、気を失っているらしく、なにも声をあげなくなっていた。
「どうすりゃいいんだ」
薄れゆく意識の中で、不破は解決策を考えた。
BBは、何かに気づいたのか、洞窟の外へ走っていった。
巨大ムカデは、不破と千恵をつかまえたまま、洞窟の奥へと歩きだした。
「お〜い不破、大丈夫か〜」
洞窟の奥から、渡辺の声がした。
不破は苦しくて、声が出せなかった。
渡辺たちは、洞窟の奥にある、深い縦穴の中にいたのだった。
巨大ムカデは、この縦穴の中に食料である人間を生きたまま、置いておくのだった。
巨大ムカデは、不破と千恵を、この縦穴に入れるために、洞窟の奥へと歩いていった。
縦穴に入れられてしまったら、もう食べられるのを待つのみだ。
「ワンワン」
洞窟の外へ出て行った、BBが戻ってきた。
しかし、やってきたのは、BBだけじゃなかった。
「またせたわね」
おばさんの声がした。その声の主は、あのターミネーターおばさんこと、高山陽子だった。
高山陽子の手には、さっき不破が落とした刀があった。
高山陽子は懐中電灯で、不破の顔を照らした。
「まだ生きてるわね」
高山陽子は、懐中電灯を岩の上に置くと、刀を両手で握りしめて、構えた。
「わたしが来たからには観念なさいよ、坊や」
陽子は、巨大ムカデを坊や呼ばわりした。
「ムギギギギ」
巨大ムカデは今までにない大きな鳴き声を出した。
「その2人を放しなさい」
そう言って、陽子は高くジャンプして、巨大ムカデの触覚を2本とも斬り落とした。
どさり、どさりと、2人は地面に落ちた。
巨大ムカデの触覚は、再生可能らしく、また新しく触覚が生えてきた。
「便利な触覚もってるじゃないの、坊や」
陽子は、笑みをうかべた。
「一気にかたづけちゃうわよ」
陽子は刀を振り上げると、ぴょんと軽く3メートルは飛び上がり、巨大ムカデの脳天に振り下ろした。
バキッと大きな音がした。
折れたのは、刀の方だった。
「あらら、坊やは石頭なのね。頭が固いと、人生苦労するわよ。柔軟じゃないとね」
陽子は、刀を捨てた。
「素手で勝負よ」
陽子は、巨大ムカデの腹にタックルをした。
立っていた巨大ムカデは、倒れこんだ。
陽子は寝技に持ち込んだ。
陽子は、巨大ムカデの何百とある足の1つにアームロックをかけた。
効果はなかった。
「ムギギギギー」
巨大ムカデは触覚をのばしてきた。陽子は足をとられて、逆さづりにされた。
「頭に血がのぼるじゃないの、やめなさい坊や」
陽子は触覚を両手でつかむと、ひきちぎった。
「すげぇ」
不破は闘いを見ていて、巨大ムカデよりも、高山陽子に恐怖を感じた。
陽子は、ひきちぎった触覚を鞭にして攻撃した。
「そうだわ、いいこと思いついた」
陽子は巨大ムカデにタックルをくらわせると、巨大ムカデをエビぞり状態で2つに折って、触角で結びつけてしまった。
「ムギギギー」
巨大ムカデは、じたばたした。

巨大ムカデは、高山陽子の力でベジタリアンになって、山に返された。
渡辺と夏は、無事に深い縦穴から救出された。
BBが山にいたのは、高山陽子が山登りに連れてきたからだった。
おしまい。

★ エンドロール ★

監督:不破臼人
撮影:不破臼人
演出:不破臼人
音声:不破臼人

●出演●

不破臼人
渡辺周
鈴木夏
鈴木千恵
高山陽子
BB
巨大ムカデ:本物
お坊さん:近所の人

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なげーよ。誰が読むんだよ!

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