魔法学校

2002年11月29日
「僕もハリーポッターみたいに魔法がつかえたらなぁ」
 太郎が独り事を言いながら歩いていると、ひげモジャモジャの老人が声をかけてきた。
「君は魔法が使いたいのかね」
「…………」
 太郎は突然知らない老人に声をかけられて答えに困った。
「魔法学校に連れて行ってやる。ワシについてこい!」
 老人はそう言うと、のしのしと歩きはじめた。
 太郎はついて行くか迷ったが、老人の鋭い目と立派なひげに説得力を感じた。あの老人は魔法使いに違いない。
 太郎は老人について行く事にした。
 歩いていると、老人は小鳥やノラ犬にわけのわからぬ言葉で話しかけた。
 太郎は老人が動物と会話しているのを見て自分もその魔法を学びたいと思った。
「ここが魔法を習う学校じゃ」
 老人が指差したその建物は鈴木と表札のかかった普通の民家だった。
 太郎の想像していた建物のイメージと違い、意外に思った。
 老人は家の前に立った。
「魔法学校の校長が帰ったぞ、門をあけ〜い」
 老人は大声で言った。
 すると、玄関のドアが開いておばあさんが出てきた。
「おじいさん、近所迷惑じゃないの! 大声だしなさんな」
 おばあさんは老人を怒鳴りつけた。
 この人はきっと魔女だと太郎は思った。
「魔法学校の新入生だ」
 老人は言った。
「あらそう」
 おばあさんは言った。
「おじいさん夕食の準備が出来ましたよ」
「ああ、もうそんな時間か」
 老人はそう言うと、おばあさんと一緒に家の中に入っていった。
 太郎は一人、家の前に残された。
「えっ? なに? 僕は家に入れてくれないの? もしかして老人にからかわれたの? 何?」
 電柱の上でカラスが「アホー」と鳴いた。

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