メジャーになると言っても、何でメジャーになろうか。
壮太郎は、駅前のファーストフード店で、ハンバーガーを食べながら考えていた。
そして、コーラをストローで、チュウチュウと吸った。
そして、氷をガリガリ噛んだ。
ガリガリ、ガリガリ……。
俺の好きなものって何だろうか。
好きなものでメジャーになりたいな。
サッカーが好きだな。でも、サッカー選手には今更なれないし。
スポーツで、成功をおさめるのは無理だな。
そんな事を考えていると、隣にいたサラリーマン風の中年男二人が話かけてきた。
「お兄さん、学生?」
メガネをかけた男が言った。
「えっ。はい、そうです」
壮太郎は答えた。
「ちょっと今、時間ある?」
メガネの男とは別の、M字ハゲの男が訊いてきた。
「いや〜、まぁ、用事はないですけど、何ですか?」
「おいしい話があるねんけど、興味ないかな?」
M字ハゲの男が言った。
「おいしい話ですか」
「そう、おいしい話。興味あるかな」
そう言って、メガネの男が、壮太郎にグッと近寄ってきた。
「あると言えば、ありますけど」
「そうか、あるか」
メガネの男が言った。
「どういった話なんですか?」
「ここでは話せへんから、事務所に移動してもらわれへんやろか」
M字ハゲの男が言った。
「どうして、ここでは話せないんですか?」
「他の人には知られたくない、秘密のおいしい話やからねぇ」
M字ハゲの男はニヤリと笑った。
壮太郎は、少し迷ったが、もしかしてこれは神様が与えてくれた、メジャーになるチャンスかもしれないと思った。
「どうする、事務所で話をきくかい?」
メガネの男が言った。
「はい、事務所に行きます」
「そうか、ほな行こうか。ついて来て」
メガネの男とM字ハゲの男は、したり顔をして、立ち上がった。
壮太郎は、二人に案内されて、事務所へ行った。

つづく
 

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